届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「そうだよ。尚吾の言う通り、なんか引っかかる事もあるし…。」
「秀さん、引っかかる事ってなんですか?」
泣いていたミュウが、ヒョッコリと顔を上げた。
「そういえばおかしな所があるよな。」
丘芹まで眉をゆがめる。
「なに?」
ハッキリ言ってほしくて、ズバッと突っ込んだ。
「なんかさ、『G』のガサ入れにしてはおかしくてさ。」
「だ~か~ら、亮太までもったいぶらないでよ!!」
もったいぶられていることに、少しイラッと声を荒げた。
「気のせいかもだけど…唯が捕まって連行された後、めぼしいヤツ数人捕まえて引き上げて行ったんだ。」
何かを考えるかのように、秀が口を開いた。
「…どういう事?」
一瞬にして口調も顔も重くなる。
「普通ならミュウみたいな援交している子とか、家出しているヤツとかドラッグやっているヤツとか連れてくはずなのに、ドラッグやっている男2人。それだけだぜ?連れて行ったの。」
「そう言えば、秀の言う通りだな。オレや秀とか丘芹と亮太に晶。捕まってもおかしくない人間は全く無視。フロア荒らしただけで終わりだぜ?裏の秘密部屋とか一切気にもしてなかったし。」
「まるで、唯さんを狙っていたみたいですね…。」
「怖いこと言わないでよ晶…。」
顔は笑ってごまかすけど、チクリと心の奥が痛む。
まさか、お兄ちゃんじゃないよね?
お兄ちゃんだったら、今頃ここにはいられないし…。
フッと嫌な過去が思い浮かぶ。
「そんな、気にすることもないから。多分、見せしめのガサ入れだろうし。」
「うん。」
亮太の言葉に、少し気持ちが軽くなった。
「唯が無事だって分かったからさ、オレと晶は出かけるか。」
「そうですね秀さん。」
2人がソファから立ち上がった。
「じゃあ、俺と亮太も女の子見つけに行きますか。」
「もしかして、またフラれたの?」
ビックリして目が丸くなる。
今週だけで8人はフラれているハズ…。
「悲しいこと言わないで!!」
亮太が泣きそうな顔をしながら叫んだ。
「じゃあ、ミュウも遊びに行く!!」
パッとソファから立ち上がった。
「ミュウは、尚吾といればいいじゃん。あたしが帰るし。」
慌てて立ち上がろうとした。