届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「普通なら保護者呼び出されるか、2日くらいは留置場入ってもおかしくないんだけどな。」
丘芹の隣でおなじ顔をしながら亮太がつぶやいた。
「いちよう、保護者呼ばれた時のために、って秀の姉ちゃんが待っていてくれてさ。」
携帯でお姉さんに大丈夫とメールしている尚吾。
「そっか、ありがとう。まぁ~、あたしだったから上手くダマして帰って来られたんだけど…。」
ニヤリと口元をゆるませた。
「なんだよ…ダマせたって?」
秀が不思議そうに首をかしげた。
「なんか、バカみたいにお人好しな刑事でさぁ。あからさまに嘘って分るような話に泣いちゃって。」
思い出しただけで笑えてくる。
「そんな刑事がいるんですね?もし、その刑事がバカじゃなかったら、どうするつもりだったんですか?」
かわいい顔をしてジッとあたしを見ている晶。
「顔はそんな悪くなかったし…いざとなったら、一肌脱ごうかと。」
意味ありそうに微笑んだ。
「な~にぃ~!?」
みんなの視線が一斉に集中。
「どんな男なんだ!?」
鼻息荒く、尚吾が詰め寄ってきた。
「ど…どんなって…。」
尚吾の勢いに戸惑いながらも、バカ刑事の顔を思い出してみる。
オーラが優しくって…。
天然ポイ雰囲気で。
背も高いし、どっちかといったらカッコいいかも…。
なんだか、懐かしい人を思い出させる感じ。
あたしが今でも忘れられない人。
霧生くん……だ。
思わず忘れかけていた名前を思い出した。
今は、これ以上は思い出したくない。
霧生くんの事を考えるだけで、あの忌まわしい過去を思い出してしまうから。
だけど、あのバカ刑事の顔を思い出すと、思わず笑ってしまう。
「なに笑っているんだよ?どれだけ心配したと思っているんだ?」
「ごめん尚吾。どうも、あんな嘘に涙流して信じるなんて。思い出しただけで…。」
一生懸命、口元が緩むのをこらえる。