届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…

「そういう趣味。あの彼女は受け入れてくれるかなぁ?」

ニンマリとゆるむ口元。

「だ・か・ら、職業道具です!!大体…彼女とは、そういう……」

視線をうつむかせながら。

言葉にならないその先を

モゴモゴと口を動かしている。

それを見て、大笑いするあたし。

最近は2人でクダラナイ話しをして、よく笑うようになった。

部屋中に響く笑い声。

海翔も以前より早く帰ってきて、二人でご飯を食べたり。

あたしも家にいることが多くなった。

だけど、二人ともそれを口にしない。

触れてはいけない部分ではなくて、それが日常になったから。

そんな毎日の中、あたしの誕生日がやってきた。

「お~い。ドアを開けてくれ。」

そう言いながら海翔が帰ってきた。

「どうしたの?」

両手に抱え切れないほどの花火を持っている。

「誕生日プレゼント。」

「本当に花火買ってきたの!?」

びっくりだ。

半分冗談だったのに。

「買って来たと言うか…」

言葉に詰まって、何かを考えている。

「まさか、本当に鑑識から火薬パクった?」

一瞬にして顔が引きつった。

まさか、本当に職権乱用しちゃったとしか思えなくて。

「するか!!まあ…押収品。」

ボソッと言った。

「押収品?」

「ちょっとな。河川敷で騒いでいる青少年たちに声をかけたらくれた。」

「職権乱用じゃん!!」

「失礼だな!!職務質問かけて、話の流れで花火くれって言ったら、どうぞ持ってってくださいってくれたんだよ。」

「それが職権乱用じゃないの?」

「いや。脅迫したわけじゃないし。」

「なにそれ?」

「いいから。花火しにいくぞ!!」

そう言って部屋を出て行った。

< 558 / 570 >

この作品をシェア

pagetop