届カナイ愛ト知ッテイタノニ抑エキレズニ愛シ続ケタ…
「関係ないだろ?」
「だって…あたし…」
間違って霧生くんの名前を呼んじゃったんだよ?
海翔の顔から視線をそらした。
「名前を間違えたくらいで逃げるなんて、綾瀬らしくないな。」
そう言いながら、小さく口元を緩めた。
「……」
視線をうつむけながら、ただ黙るしかできない。
その理由なんか言えないから。
「オレだって、被疑者と容疑者の名前、間違えることあるんだぜ?」
ボソッと耳打ちした。
「それは、海翔がドジなだけでしょ?」
やっと、ポツリとつぶやいた言葉。
いつもならムッとするのに。
「じゃあ、綾瀬もドジなだけだな。」
そう言いながらクスッと笑った。
「失礼な!!海翔と一緒にしないで!!」
今日はムッと口をとがらせたのはあたし。
「綾瀬には、それほど大事に思う人がいるんだろう?」
コクンとうなずいた。
さっき、お姉さんに言われた言葉が胸に刺さって。
あたしは、まだ霧生くんが忘れられない。
海翔と霧生くんを重ねているだけだから。
「ソイツと上手くいくといいな。」
クシャッと頭をなでられたけど。
小さく首を横に振った。
「もう……会えることはないから。」
自然と溢れそうな涙をこらえながら。
ポツリとつぶやいた。