幾千の祈り
3:似た者同士
手には一箱の洗剤。
その様子から、どうやら引っ越しの挨拶をしに来たと見える左隣。
もとい…神埼恭汰。
「…」
「…」
誰か、お願いします。
どうにかしてこの、気まずさ前回な場を救っていただきたい。
何の苛めなのだろうか。
つい先日恥をかかされた、お互い印象の最悪な二人。
その二人が奇跡的に同じクラスで、隣の席で、あろうことか家まで隣、なんて。
こんな奇跡があるのならば、私はもう二度と奇跡なんて望まない。
維持でも、望むものか。
とりあえず、沈黙がこんなに辛いと思ったのは人生で初めての体験。
その痛いほどの沈黙を破ったのはほかでもない、ケホケホ、という神埼の乾いたちいさな咳だった。
「神埼、まさか…?」
「あぁ…悪い、風邪引いてんだ」
風邪を、引いている。
「入って」
「は?」
「…家、入って!!」
その様子から、どうやら引っ越しの挨拶をしに来たと見える左隣。
もとい…神埼恭汰。
「…」
「…」
誰か、お願いします。
どうにかしてこの、気まずさ前回な場を救っていただきたい。
何の苛めなのだろうか。
つい先日恥をかかされた、お互い印象の最悪な二人。
その二人が奇跡的に同じクラスで、隣の席で、あろうことか家まで隣、なんて。
こんな奇跡があるのならば、私はもう二度と奇跡なんて望まない。
維持でも、望むものか。
とりあえず、沈黙がこんなに辛いと思ったのは人生で初めての体験。
その痛いほどの沈黙を破ったのはほかでもない、ケホケホ、という神埼の乾いたちいさな咳だった。
「神埼、まさか…?」
「あぁ…悪い、風邪引いてんだ」
風邪を、引いている。
「入って」
「は?」
「…家、入って!!」