涙が途絶える日まで

それから私たちは目を合わせて

お互い笑ってしまった。

「ちょっ何笑ってんだよー!」

『なによーそっちだってわらってるじゃん!』

「あはは!俺はいーの。」

『意味わかんな~い。あははっ』

そして誓が出してきた手に自分の手を重ねて

ぎゅっと強く握った。

「はらへったぁ…」

『あ!私誓にブラウニー作ったんだよ!』

「うぉっ!まじで!さすがじゃん」

『美味しいことは保証しないよー』

多分甘すぎる…

男の子ってあんまり甘すぎるもの好きじゃないよね?

彩部もチョコ嫌ってた。

誓がぱくっと食べる。

『ど、どう?』

「これ…」

や、やばい。 やっぱまずい?甘すぎ?

「めっちゃうめぇよ!!」

『え?本当?甘いのだめじゃ…』

「俺は、平気。好きだぜ甘いの。」

あ…

彩部と間違えた。

どうしよう。誓気付いたよね?

なに私。ばかばかばかっ

ほんっと最低だ…。

『そ、そっか。』

「ん。だからまた作ってよ!な?」

にひひ

といつも通りの笑顔を向けてくる。

けどさすがに私も気づいたよ。

その笑顔、本物じゃないよね…?

口元いつもより上がってる。

そういうときって

作り笑いしてるからだよね。

私、謝った方がいいのかな?

気付かない振りしてスルーすべき?

『誓…その…。私っ』

「まあそだな。男子で甘党って少ねぇよな」

『えっ…』

「普通男子甘いの苦手だよなっ!」

あははっといつも通りに笑う。

まさかフォローしてくれたの?

誓は本当にいい人だ…。

『そ、そうだよ!誓おかまー!』

「なっ!なんだとー!?」

誓が私のとこまで走ってきて私を抱え込む。


『きゃあ!ははははっ!』

「このやろーっ」

私はこのとき、なんとなくだけど

彩部のことを忘れられた気がした。


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