あのこになりたい
「休みに会えばいいじゃん。近所なんだから」


私が言うと、


「絶対だよ。約束だよ」


と言って泣いてた。


彼女かよ…


綾は、地元の高校に通っている。


相変わらずテニス部でがんばっている。


中学からテニスを始めた綾はめきめきと上達して、小学の時のぽっちゃり感がなくなるほどスリムになった。


新しい高校生活にもだいぶ馴染んできた。


知らない人ばかりの生活はひどく心地よかった。


この高校で出会った友達はみんな真面目だし、落ち着いてるし、何よりサバサバしている。


トイレに一緒に行きたがらない。


なんて気楽なんだ…


私は自分の理想的な友人関係を実現することができた。



ある日の帰りの電車で、ある人と出会った。


背が高くパーマがかかった少し長めの黒い髪。


目鼻立ちがはっきりしたこの顔。


見たことがある…


大学生のような雰囲気の人。

誰だろう…


私はずっと考えていた。


同じ駅で降りたその人は、私に声をかけてきた。


「ねぇ、岡田の妹…だよね」


お兄ちゃんの知り合い…?

「はい…」


私は少し驚いた。


< 13 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop