あのこになりたい
もし、シュンがロングヘアが好きとかだったら…


どうしよう。



まあ、髪は伸びるから!


と自分に言い聞かせた。



腰まであった髪はバサバサと切られていく。



「はぁ…すごい」


私が言うと、


「やっぱりやめたくなっちゃいました?」


美容師さんは青ざめて聞いた。



「…少し」


と答えると、


「ええっ!!」


と叫んで危うくハサミを落としかけた。



「あはは…嘘です」


私が笑っているのを見て、ホッと安心していた。



かわいい美容師さんだな。


髪と共に私の暗い思い出や、こだわり続けた過去が、なんだかちっぽけに思えてきた。



さようなら…



私は心の中つぶやいた。



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