あのこになりたい
彼の笑った顔は嫌いじゃないな…


なんて少し思った。


「宿題もだけどさ。俺、親が離婚して母さん出てっちゃったりさ…。小学の時、岡田がいたから毎日学校行けた気がするんだよ」


兄とは少し違うスポーツ少年のイメージだった彼はそんな心の闇を持っていたのか…


遠足にコンビニ弁当持って行って寂しい思いをしていた時に、


「おかず交換しようよ」


そう言って兄は彼に卵焼きや唐揚げをあげたんだそうだ。


「岡田の母さんの卵焼きうまかったなぁ」


彼は少し懐かしそうに言った。


「岡田は信用できる奴っていうか、ずっと付き合って行きたい奴って思ってさ…それで同じ高校行こうって思って勉強したんだよな」

彼は寂しそうな顔で言った。


「あの…もしかして…」


私の言葉を遮って


「ゲイじゃねぇぞ」


そう言った彼に少し笑えた。


「男の友情だ!」


「暑苦しい…」


笑いながら言うと


「おまえ…昔は素直ないい子だったのに」


彼はそう言った。



< 15 / 201 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop