あのこになりたい
母がそう言った。


若菜さんは少し考えていたが、兄が、


「そうしろよ、若菜。夢を叶えろ」


そう言った。



「お願いします」


若菜さんは深く頭を下げた。



兄はその後、就職活動に励み、引き込もっている間に身に付けたパソコンの技術を買われ、大手とまではいかないものの思ったよりいいところに就職が決まった。



若菜さんの親に会う日、私は家でお留守番になり、シュンがやって来た。



話を聞いたシュンは、


「岡田やるじゃん」


と、嬉しそうに言った。



「あとは若菜さんの親だよ…」


私が言うと、


「若菜ん家もなかなか手強そうだな」


シュンが言った。



確かに育ちのよさそうなお嬢さんだよね。



「どうなるんだろう…」


私は、張り詰めた気持ちで座っていた。



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