あのこになりたい
父と母と兄が帰って来た瞬間、表情の暗さから何となくわかった。


兄は部屋へ戻り、シュンと私はリビングで母から話を聞くことにした。



母の話によると、向こうのご両親はかなり興奮した様子で、若菜さんの父親が若菜さんをひっぱたいて、兄も2発ほど殴られたそうだ。


そして、兄達にこう言ったそうだ。


「人からいじめを受けるような人間にうちの娘はやれない。だいたい学校やめて家に引きこもることを許すあんたたちもあんたたちだ。そんな情けない奴にわかはやれない。二度と関わらんでくれ」


母は、


「わかってたことだけどね」


と言った。



明日、若菜さんを病院へ連れて行き中絶手術を受けさせるとも言ったらしい。



私は鳥肌が立った。



「若菜さん…大丈夫かな」

私は心底、若菜さんが心配になった。



「ひどいな…」


シュンも呟いた。



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