あのこになりたい
「わかった…」


私は決心した。



家へ向かう私の足は重く、シュンは緊張した感じもなくいつも通りだった。



「岡田の家…久しぶりだな。でも変わってないな」


シュンは笑って言った。


「そっかなぁ…」


私は力なく答えた。



重いドアを開けて、


「ただいま…」


と小さな声で言ったが、キッチンに立つ母は無言だ。


「こんにちは」


シュンが大きな声で言った。


「え…」


母は少し眉間にしわを寄せて玄関に走って来た。



「岡田くんの同級生の有田と言います。小学生の頃、時々遊びに来てたんですけど」


シュンは爽やかに言った。


母は状況がつかめず、


「そうですか…」


と言っただけで、


「それで…?」


と聞いた。



「あ、あのね…」


私が言いかけると、


「僕が家の前で立ってたらちょうど妹さんが…」


え…?


「ああ…そうだったの」


母は少し笑顔を見せた。


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