あのこになりたい
「ちょっとだけね…」


私はふくれっ面で答えた。


シュンの家は、白くてかわいい雰囲気の家で周りには芝生が植えられていた。


きれいに刈られてる。


「これ…シュンが?」


芝生を指差して言うと、


「そう。休みの日刈ってんの。割りと几帳面…」


ニッと笑った。



「すごい大学生だねぇ」


感心していると、


「どうぞ」


鍵を開けたドアを引いてシュンが言った。



家の中はきれいに片付いていた。


一人で住むには広すぎるよね…


どれもシュンの物と思われる物ばかりで、私の家とは違う。


家族の物はほとんどない。

子どもの頃使っていたようなサッカーボールは埃をかぶっていた。


「はい」


サイダーが入ったグラスが置かれた。


「ありがとう」


炭酸飲料は母が嫌いでほとんど家で飲むことはない。


兄はここで息抜きをしていたのだろうか…


「母さんが出て行く前、毎日ケンカが続いてさ。父さんは母さんによく暴力奮って。夜中、母さんがよく泣いてたんだよ」


シュンは食卓テーブルに肘をついて話し始めた。


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