あのこになりたい
「シュンはほんとにお母さんを許せたの?」


私の質問にシュンは笑って、


「そうなるまでには時間かかったけどな」


と言った。



「初めて彼女ができた時にそう思えた。人を好きになって、リスク負うのも承知で母さんを連れ出した奴の気持ちもわかるような気がしてさ…なんか皮肉だけど。ま、その彼女とも別れたんだけど。人の関係なんて脆いんだよ」


シュンは静かに言った。



「そうだね…」


私は、シュンになんて言えばいいのかわからず黙り込んだ。



「だからこそ、大事にしないとな」


シュンは爽やかに締めくくった。



「うん」


私は深く頷いた。



その日は、家に帰ってからもシュンの話が頭を離れずただ私もシュンのような人間になりたいと思った。



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