あのこになりたい
「若菜に会うならまず身だしなみをちゃんとしなきゃな」


シュンは笑って言った。



「そう…だな…」


兄は少し笑った。



若菜さんとは、兄が中学2年から付き合っている人で、今シュンと同じ大学に通っているらしい。


兄にそんな人がいたなんて。


正直驚いた。



お母さんは、階段の途中のところで泣いていた。


兄の笑顔なんて何年ぶりだろう。


兄がこんなに喋るところなんてずいぶん見なかった。


若菜さん…


2年も会わないで待ってたなんて。


兄をそこまで大切に思って信じてくれてたなんて。


私はまだ見ぬ若菜さんの気持ちを思い、更に泣いた。


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