なんでも屋 神…最終幕
…目に映るもの全てが現実ならば…今、俺の目に映っているのも、事実という事になるのだろうか…。



表情から肩、太股から爪先まで力が抜けていくが、それでもなんとか立っていられるのは、一葉を支えているという意識から。



今一つ現実味が無く、テレビから目を背けたい反面、勘違いだと信じたくて画面を見続けてしまう。



沈痛な面持ちで、明るいニュース原稿を読み上げる時より、幾分声のトーンを下げた男性アナウンサー。



その淡々と語るアナウンサーの声が耳に残り、同じく何も知らないくせに、沈痛な面持ちで聞き入るコメンテーター達の顔が記憶に残る…。



男性アナウンサーの声にも、沈痛な面持ちを崩さないコメンテーター達にも、体の奥底で焦げるような苛つきを覚えた。
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