なんでも屋 神…最終幕
尤も、選挙権を持たない奴が大半を占めるこの辺りじゃ、来るだけ無駄というもの。



中指を立てられても笑顔で有り難う御座いますと答える立候補者には、皮肉の意味で頭が下がる思いだ。



「ウチの宇佐見と選挙で争っているのは、荒木紳助という有力者でして…正直な所、私共の方が旗色は悪いです。」



荒木紳助と言えば、この街で一番大きな荒木建設の社長だったはず。



どうやら、立候補前にその職を退いていたらしいな。



荒木建設については、丁度一年程前だったか、手抜き工事を内部告発され、地方紙の一面を賑わしていた記憶が新しい。



告発者が解雇され、不当解雇だと裁判にもつれ込んだ所までは新聞で読んだが、裏で告発者家族に対する執拗な嫌がらせや、手打ち金が渡ったのでは…と書いたのは、マコが働いていた出版社のゴシップ雑誌だ。
< 151 / 447 >

この作品をシェア

pagetop