なんでも屋 神…最終幕
事務所の中に誰かが居るかもしれない…。



そう危惧した時から、意識の中ではノリのイメージしか沸いていなかった。



俺が不在の時も、ノリはピッキングで事務所に入って俺を待っていた。そのイメージが先行したのだろう。



俺のベレッタなのだから、ベレッタには俺の指紋だけが残っている。



証拠が無ければ警察の捜査は早々と打ち切られる。警察の捜査なんて、蓋を開ければ杜撰なもんだ。



そこまで考えを巡らせた所で、さっき聞こえた金属音を思い出し、デスクの上に設置されているベレッタを手に取った。



…やられた。



マガジンが抜き取られている。



ベレッタを見つけ出したと言う事は、予備のマガジンと弾も持ち去られているだろう…態態見る気にもなれない。



何の役にも立たなくなったベレッタをデスクの上に転がし、椅子に座ろうとした時、誰の物かも分からない携帯が椅子の上に乗っていた。
< 284 / 447 >

この作品をシェア

pagetop