なんでも屋 神…最終幕
「…一樹、お前は本当に儂に似てるな。」



「珍しいですね、親父が俺を名前で呼ぶなんて。何だか若い衆時代に戻ったみたいですよ。」



「此処にゃ二人しか居ないんだから、偶には良いだろう。儂は鷹臣に、お前は神に、どうして固執するか分かるか?」



「…今なら、はっきりと分かる気がしますよ。俺は神に勝てない。今なら勝てますけど、神の奴が俺と同じ歳だったら、同じぐらい場数を踏んで経験を積んでたら…多分勝てないでしょうね。昔から薄々気付いてましたよ。だからこそ俺は、神の奴に頼れる兄貴像を刷り込んでいたのかもしれません。俺はただ、彼奴を見ていたかった…殺すのが惜しいと感じてたんです。」



「だからお前は儂に似てるっていうんだ。儂も鷹臣を見てて内心そう思っとった…神の奴な、儂が懐に銃を呑んでるの気付いてたよ。じゃが、負い目から儂が撃てないと確信していた。これから未だ未だ伸びるぞ彼奴は。」



「俺は親父を目指して此処までやってきたんですから、これからも親父に追い付けるように、片意地張って生きていくだけですよ。」
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