なんでも屋 神…最終幕

未だ夜の帳が降りるには少し早い時間帯。



点いているネオンは、宝石を散りばめたように疎らだ。



深くこの地に染み着いた血の臭いが、晴れてきたお陰で熱を帯びた空気に乗って鼻腔へと届く。



異国人を見つめる冷めた視線を全身で感じながら、ネオンの灯っていないビルの前でマジェスティを停車させた。



真ん中が擦り切れたカーペットの上を歩き、生暖かい空気を溜めていたボロエレベーターに乗り込む。



目的地である三階に着くと、迷う事無く黒木目に金のドアノブの付いたドアの前に立ち尽くした。