なんでも屋 神…最終幕
「飯を食う前に渡しとく。これで俺がお袋の金庫から持ち出した三百万は、確かに返済したからな。」



俺がテーブルに置いた現金入りの封筒を、お袋は然ほど興味も無さそうに一瞥しただけだった。



「さぁ食べよう。あたしが腕に縒りをかけて作ったんだから、残したら承知しないよ馬鹿息子。」



その普段と変わらなく威勢の良い言葉とは裏腹に、テーブルを挟んで座るお袋の瞳は、柔和そのものだった。



初めて口にした本当のお袋の味は、イトさんの作る物とは微妙に味付けが違っていたが、俺の胃袋はすんなりと受け入れた。



機嫌の良くなったお袋は、俺の小さかった頃の話しに脚色を加え、面白可笑しく一葉に話している。
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