なんでも屋 神…最終幕
神君はベットに腰掛け、徐に取り出したタバコに火を付けて、じっと外を眺めてる。



時計の無い神君の部屋は、二人共喋らないと、耳で感じ取れない一分一秒が凄く長い。



ましてや、こんな雰囲気ならもっと…。



何か話さなきゃって思っても、これから告げられる事を考えると、何にも考えられないよ…。



私はガラステーブルに映る、タバコを吸う神君を見つめていた。



この部屋に漂う神君の匂い、その全てが愛おしい。



刻の流れを感じさせない部屋で、燃え尽きて灰になっていくタバコの残りを、神君は灰皿に押しつけた。



「…なぁ、一葉。俺もう一回この街を出ようと思ってる。」
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