なんでも屋 神…最終幕
仲間には優しく、義を重んじ、礼を欠かない頼もしい男。



偶に俺を組に誘おうとするけど、それも本気では無い。



「別になんとも思わないよ。それより、引退する神堂はどうなるんだ?」



俺の問いかけに肩をすくめて見せたノリは、眉尻から力を抜いたように話し出した。



「最高顧問として身を引くのかとも思ってたら、楽隠居するんだと。今から孫が出来るのを楽しみにしてるらしい。」



俺には頷けなくもない話しだった。



長年裏社会で深い傷跡のような皺を眉間に寄せ、気を張り詰めてきた神堂。



ふっと力を抜いて、限りある余生を孫と楽しみたいと言う気持ちが、初めて神堂を人間くさく思わせた。
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