なんでも屋 神…最終幕
兄ぃがこの街の裏社会のトップに立つ…そんな話しを何度聞かされても、実感なんて全く沸いてこない。



俺にとって兄ぃは兄ぃで、昔良く遊んで貰った幼なじみ以外の何者でもない。



それは、[神堂組]に入った時も同じだった。



兄ぃが裏社会の一員になったからといって、俺は接する態度を変える事もなかったし、関係性も変わらないままだ。



気兼ね無し、貸し借り無し…そんな関係を敷いた兄ぃの姿が、本来の黒沢一樹だという事も俺は知っている。



「兄貴がこの街の裏社会のトップに立つって言う事を、その兄弟分としてはどう思うんだ?」



どうと言われても、俺の中の黒沢一樹は、昔から変わらない完璧な男のイメージを保っている。
< 48 / 447 >

この作品をシェア

pagetop