なんでも屋 神…最終幕
「優香や一葉は、千里と少しでも一緒に居たいから手伝ってるんだよ。それを地べたに座ったまま終わらせるのは、勿体ないと思わないか?」



俺とは最初に有った時からまともに会話などしていないが、千里は黙って俺の言葉に聞き入っていた。



そして、人生の落とし穴に落ちやすいのも、千里のように根は素直な子の方が圧倒的に多いという事実が、俺をなんでも屋として奮起させる。



「家族にHIVに感染した事、今までどんな思いを抱いていたかを真剣に話してみたら、何かが変わるかもしれない。」



俯いた千里の目元から零れた涙は、熱を持った地面に落ち、数秒の内に消えていった。



「それで何も変わらなかったら、もう一度なんでも屋を訪ねて来い。その時は、俺が格安で手を貸してやるよ。」
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