子供+大人=恋?の方程式(応用編)
「け、圭…くん……」
微かに吐息と漏れる茅乃の声に、俺はハッと我に返る。
虚ろな目で俺のことを見てくる茅乃。
そんな茅乃を俺は押し倒していたことに、気づいた。
自分がどうやって押し倒したのかさえも、記憶にない。
内心焦りながらも、俺はフッと余裕の笑みを作り笑う。
「冗談だよ…。
いくらなんでも、ここじゃ無理だろ。
するなら、俺の部屋とか…」
「あたし、絶対に圭くんの部屋には近づかないから」
下から、俺のことを睨みつけながら茅乃はふいっと視線を逸らした。
あちゃ~…。
こりゃ、機嫌を損なったか?
だけど、俺と茅乃の間ではこういうことは日常茶飯事。
今更、機嫌を損ねたぐらいで焦ったりはしない。
どちらかというと、茅乃を前にした自分が理性を失ってしまったことに対してのほうが焦る。
今まで、どんな女を前にしても、理性を失うなんてことは一度だってなかった。
これが、本気で好きになった女と、どうでもいい女との違いという奴か?
自分の意外な一面を知り、俺は茅乃に対する自分の箍が緩いことを改めて認識した。