催涙雨




葵に迷惑はかけられない。
かけたくないの。


あたしひとりの我が儘で
アオイの存在を
揺さぶるわけにはいかないの。



葵を大切に思う以上‥
アオイも、…大切だから。



ありがとうと淋しく思う気持ちを
重くならないように言葉に紡ぎ
電波を通して異国の葵まで送る。



大丈夫───‥


会える日は来るんだから。



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