独り占めさせて

鼓動を速める心臓をなだめつつ、ひょっとして、新規の入ゼミ希望者かと、思いを巡らせていると。




「本田、おせーよ!」


「あぁ、悪い。
コピー機、混んでてさ」




……え?


本田、君?




驚きと、まだ信じられない気持ちとで、レジュメを配っているメガネ男子を、じっと見つめると、


ふと、目が合った。




「あ、ゼミ長、遅れてすみませんでした」




うん、間違いない。


本田君だ。

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