call my name



 隣に置いていた携帯の振動で目が覚めた。

暗い部屋の中、寝ぼけ眼で手に取って電話に出た。


「……はい?」


返事と同時に笑い声とコールの声が聞こえた。


「寝てたー?」


相手はテンションの高そうな声の祐輔だった。


「あー、ごめん。今電話で起きたよ」

「じゃー、今から俺の部屋来て。もう二次会だけど、まだまだ飲むからー!」


二次会?


「え、今何時?」


部屋が暗いため、夜であるということはわかるが、部屋の時計は見えなかった。


「んー、11時」


……寝すぎた。

こんなつもりではなかったんだけど。


「ごめん、すぐ行くね。祐輔の家でいいんだね?」

「おー、待ってるよー」


その返事だけを聞いて、急いで電話を切った。

鍵と財布、携帯の必要最低限のものだけを持って家を出た。

化粧は昼間に落としたままだけど、いいや。

もともと、ほぼすっぴんみたいなもんだし。


祐輔のマンションはあたしのところから自転車で5分ほどのところにある。

急いだため、3分ほどで着いた。

玄関のオートロックで部屋の番号を押す。確か、511だったはず。

暫くのコール音の後、扉が開いた。

エレベーターに乗って5階まで上る。511のドアを開けると、廊下に一人が寝転がっていた。

少し驚きながらも顔を確認すると、同学の西川大樹だった。


「大樹?」


声を掛けても唸り声をあげるだけ。


これは、潰れたな……。


部屋ではさっきの電話で聞こえたような笑い声やコールが飛び交っているように思える。

そっと部屋の扉を開けると、こちらに気付いた祐輔がコップに入ったお酒を持ってコールを掛けてきた。

笑いながら受け取って、それを飲み干した。

中には祐輔、木下康太の二人と知らない顔の三人がいた。


……あれ?
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