深紅の薔薇と漆黒の貴方
1章 小国の薔薇

大陸の最北端にある、最も小さな国


その名は麗蓮


小さいわりに他国との交易は盛んで、物資も潤っている。


そして、国は活気に溢れており、人々は皆、充実した日々を送っていた。




「う~ん!きもちいい!!」


春の暖かい日差しと、心地の良い風を全身にうけて伸びをする一人の女性と、


「姉上。もう少し品のある身のこなしをなさって下さい。」


それを冷静にたしなめる少女。


二人とも整った顔をしていたが、その美しさは対照的だった。



姉   利美瑚は溢れんばかりの美貌を一面に表にだし、愛嬌のある瞳はまるで穢れをしらぬように輝いていた。


対して妹の李玖は、切れ長の目に薄めの唇の持ち主で、どこと無く冷たい印象がある。


極めつけはその髪質

どちらも黒髪であったが、利美瑚のそれは大きく波打っていて女性的。


李玖のそれはまっすぐで肩の辺りまでしかなく、まるで男のようだった。











































< 1 / 30 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop