深紅の薔薇と漆黒の貴方
李玖side 続
婚儀は滞りなく進んでいった。
一縷(いちる)の気まずさは拭いきれなかったが。
しかし、それよりなにより気まずかったのは、珀黎王が時々こちらをむいて微笑んでくること。
そのたびに私は目を逸らした。
そうして自分に言い聞かせてゆく。
この男は敵、卑怯な国の王なのだ。
決して優しげなほほえみに惑わされ、流されてはいけないと。
自制をかけている自分が嫌になって、ぐっと唇を噛む。
どうやらこれが癖になっているらしいと、また自嘲した。