世界に1羽だけの鳥
「なぁ!インコちゃん!」



おじさんの声が
部屋中にこだます。




「インコちゃん!」




インコを手に取り、

必死に呼びかける。



「なぁ、お前はいつも俺が掃除してるとき、
部屋の隅で退屈そうにしてたよな…。」







「いつも俺の掃除してる姿を見下ろしてたよな…。」







「いつも俺のハーモニカ、つまんなさそうにしてたよな…。」







「いつも次の日には部屋を汚くしてくれてたよな…。」







「お前…一度も鳴いてくれなかったよな…。」




涙があふれて
床に零れ落ちる。





…ピ…





微かな悲鳴のような
泣き声を発し、


インコは


動かなくなった。
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