[短編] 昨日の僕は生きていた。
二度と君に逢えないならここで消えてしまおう
 重たい瞼を開くと、眩しいほどの光が視界を差した。
 僕の部屋の天井がぼんやりと映る。

「……朝?」

 しばらくぼーっとした後、ハッと意識が戻った。

「うわー! ちっ遅刻……っ!」

 携帯のアラームをかけ忘れていた事を思い出し、ベッドから飛び起きる。

 ん?

 ――ベッド?

「あれ? 何じゃこりゃ」

 なんと僕は宙に浮いていた。下を見ると馴染みのあるベッド。……どうなってるんだ?

「超能力?」

 身体を隅々まで観察するが、特別身体に異変はない。服装はブレザーの制服のままだった。

 ――その時だ。

「あなた! 雪彦の部屋行くわよー!」

「……母さんの声?」

 2人分の足音が階段を上がってくる。

 二階にある部屋は僕の部屋だけ。ということは――まさか、母さんと父さん、僕の部屋に来るつもりなのか?

 今の僕は宙に浮いている。見つかったらやばい! 弁解できないぞ。

「に、逃げなきゃ……!」

 浮いたまま、犬かきするように宙を泳いだ。うまく前に進めない!

 母さん達の会話が近づいて来る。

「雪彦の部屋、汚いから片付けも大変そうね」


 ドアノブが回った瞬間、焦った僕は思い切って壁に体当たりした。
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