誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
俺はそっと唇を離す。

「これくらい深くしてもらわねえとな。」

「っもう!」

すこし恨めしそうに俺の顔を見る。

そんな蝶におもわず微笑みが零れる。

「さて、俺も少し花見でもしていくか。」

「え?土方さんお仕事は?」

「少しくらい構わねよ。それに、お前より優先しなきゃならねえ仕事なんてねえからな。」

すると俺の背中にそっと寄り添う。

「土方さん。ありがとう。大好きです。」

「ああ、俺もだ。」

そして俺らは幸せそうな沙織たちを見つめながら桜を眺める。

はらはら舞う桜が運んできた春は

こんなにも温かく穏やかなものなのだと改めて実感しながら、隣の愛おしい存在に目を細める。


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