誠の紅桜に止まる蝶~土方目線~
そして私たちは彼らの背中を見送る。

蝶「ねえ沙織?」

沙「なあに?」

蝶「私ね、以前もこうやってみんなを見送った時があったの。でもその時は自分がなにもできなくてないちゃった。だけどね?」

沙「だけど?」

蝶「いまならわかるの。みんなが安心して帰ってこれるように待っていることも、怪我をしたときに癒すことも、ともに戦うこともなにも変わらない。みんな、同じことなんだって。」

沙「蝶・・・・」

蝶「だからね、信じよ?彼らは死んだりしない。それに、彼らは私たちのことを絶対忘れたりしない。だって、彼らは新撰組だよ?」

沙「うん、そうだね・・・・」

涙を流しながら頷く。

私は沙織の手を握る。

蝶「さあ、私たちは屯所に戻ろう。」

沙「ええ。」

大丈夫。

自然とそう思えてくる。

土方さんと交わしたいくつもの約束が

私を前に向かせてくれる。

だから、今度は沙織を

前に向かせて見せるから。

過去は消せない。

だけど新しい未来ならば作れる。

そう教えてくれたのは土方さんだから。

< 71 / 178 >

この作品をシェア

pagetop