ハスキーボイスで酔わせて

ーーこういうときは何かあったの?
みたいな優しい言葉ないわけ!?



心の中でそう嘆き悲しんだ時、
制服のブレザーにあるポケットの中に入れていた携帯が震え出した。



何気なく携帯を取り出し待ち受けを見ると、

着信の相手は春樹さんだった。




「ちょちょ、ごめん!」




私は慌てて三人から素早く離れると、

人通りの少ない少し離れた廊下の隅で電話をとった。




「…もしもし?」

『彩?今、大丈夫?』



電話の向こうから聞こえてくる春樹さんの声。


それだけなのに胸がカッと熱くなる。


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