ANOTHER
気づいたらそいつは真歩の目の前にいた。
「あんたに関係ないだろ」
我に返った真歩は目を合わせないように答えた。
するとそいつは顔を近づけて「サボりかどうか聞いてんだよ」と低い声で聞いてくるもんだから、「授業は二限から」とだけ答えて、距離を取った。
「なんだ、サボりじゃないのか。こんなとこで1人、友達いないのかお前。」
なんなんだこいつ。
と思いながら、何も答えずにいると、そいつは一方的に話しかけてきた。
「学科は?」「サークルは」「どこに住んでんだ」とか
とにかく全部無視した。
「ったく、ガキがタバコなんて吸ってんじゃねーよ」
「20なんだから吸っても問題ねーだろ」
流石にむっとした真歩はそいつを睨んだ。
「ふーん、20ねー。ただのガキかと思ったよ。」
「ま、どー考えても20になってから吸い始めました、って感じじゃねーけどな」
そいつは自分もタバコを、取り出して吸い始めた。