なつものがたり





これからの俺らの関係が、

ギクシャクしてしまっても




それでも。







俺は果歩への気持ちをもう押し殺せない。






一度、溢れ出したこの感情は、自分で制御できないほどだった。








パンドラの箱が開き切る。

中に残るのは、幸か不幸か。

















果歩が言葉を発するまで待とう、と、再び手を繋ぎ公園をゆっくりと歩く。





果歩を盗み見ると、まだ百面相の続き。









いつからだろう、好きという気持ちに気付いたのは。








入学式の翌日。つまらないオリエンテーションで隣の席だったこの子は、いつしか俺の “なくてはならない” に変わっていた。







「つまんないからさ、オリエンテーション、抜け出さない?」





今考えれば、初対面の女のそんな誘いに乗る俺は果歩のなにかに惹かれていたのか。

なんて。






“ビビっとくるのがいいわけ!!”




そう、ムキになる果歩の好きな人か。






「希鷹」


急に立ち止まる果歩につられ、俺も立ち止まる。









「希鷹?」








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