君の知らない空


それから2年後、私たちは別れた。


原因は、彼が会社を辞めたこととすれ違い。彼が会社を辞めたのは、二度目だった。


一度目は、船上でプロポーズしてくれた翌年3月。


「今の仕事は楽だけど収入が低すぎる。結婚のために早くお金を貯めたいから、仕事はきつくても収入のいい仕事を探そうと思う」


と桂一は言った。


お給料は安くても仕事は楽な方がいいのに……と正直なところ思ったけど、桂一が真剣に結婚を考えてくれてることが嬉しくて、


「頑張って」


と心から応援した。
それに、私は早く結婚したかったから。


すぐに決まった転職先は二交代で夜勤のある仕事。以前と比べて仕事はキツくて休日も不定期だったけど、収入はずっといい。


でも私の仕事は、土日祝休みの日勤の事務職。休日が合わないし、毎日の電話も出来なくて連絡はメールばかりになった。


桂一とのすれ違い。
会えない寂しさと不安が、どんどん募っていく。


次第に桂一が、どう思ってるのか分からなくなってくる。


私が桂一を思う気持ちは変わらない。
だけど、このまま結婚出来たとしても私たちはすれ違うばかりかもしれない。


本当に幸せになれるのかな……


そう思い始めた頃、桂一が会社を辞めた。実は年末に辞めていたと年明けに聞かされて、本当に驚いた。
事前に相談はなかったし、次の仕事は決まっていないし、なぜ今ごろ辞めるのか分からなくなった。


私は別れを決意した。
桂一と自分を責めて。



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