君の知らない空


中央ターミナルのターミナルビル前に、ゆっくりとバスが停まる。
バスはここから折り返して、再び霞駅へと向かう。


乗客は私だけ。
慣れない松葉杖に悪戦苦闘していると、運転手さんが降りるのを手伝ってくれた。


ターミナルビルの中を通り抜けて、遊覧船の接岸する岸壁へと向かった。


平日だから観光客も疎らで、寂しいと感じられるほど。その寂しさをごまかそうとするように、日差しだけがギラギラと容赦なく照り付ける。


ターミナルビルを出ると、ふわっと潮の香りを孕んだ風が髪を巻き上げた。


日差しを受けた波が眩しい。
東岸突堤のホテルの外壁と窓ガラスが、日差しと波とを反射している。


日傘をさせないのは致命的だ。


急いでターミナルビルの中へと戻った。
やっぱり冷房が効いてるところがいいなと実感。


広々としたワンフロアに並んだベンチには空いていて、どこにでも座っていいよと言ってるようにも見える。


そういえば、お腹が空いた。
何かないかとキョロキョロしてみる。
ファーストフードやパン屋さんがあったらいいなぁと期待を込めて。


しかし乗船窓口の並ぶ1階には、お土産屋さん兼売店と自販機しかない。


ビルの案内図を見に行ったら飲食店は3階、2階には税関や出入国管理等の施設もあるようだ。


へぇ……
海外の航路なんてあったんだ……


と思いつつ、エスカレーターに乗って3階を目指した。
本当はエレベーターに乗りたかったけど、見当たらなかったから仕方ない。


< 134 / 390 >

この作品をシェア

pagetop