君の知らない空


霞駅のショッピングモールには、学生の頃にアルバイトしていたアイスクリーム屋さんがある。


今は店長も代わって、バイト仲間も辞めていったから知ってる人は少ないけど、ひとりだけ今でも続けている人がいる。


「こんにちは、知花(ちはな)さん。
今日も忙しそうですね」


「橙子ちゃん、いらっしゃい。
この暑さだもん、忙しいよー。
よかったら手伝ってくれていいよ?」


今もメールで近況報告をしたり、食事に行ったりする優しい姉御肌の山住知花さん。私より8歳年上の子持ち主婦で、どんな時も明るく冗談を言って笑ってくれる。


「仕事はどう? 忙しい?
また食事行こうよ、
来週……再来週あたりはどう?」


「はい、私は大丈夫ですよ、
いつでも連絡ください、待ってます」


「オッケー、
じゃあまた、メールするよ」


知花さんが手際良く装って差し出すアイスクリームを受け取り、私は店を離れた。



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