君の知らない空


腕時計に視線を落とすと、既に7時30分を過ぎようとしている。


ここ夕霧駅から職場の最寄りの月見ヶ丘駅までは約10分、下車してからさらに約10分歩かなければならない。


始業時刻は8時30分、始業のチャイムが鳴ったらすぐに朝礼がある。


しかし朝とはいえ真夏だから、10分も歩けば汗だくになる。職場に着いてから汗を拭いたり着替えたり、化粧直しする時間が10分から15分は必要だ。


会議は8時40分から始まる。
遅くとも7時50分までには電車が動けばいいのだけど、この様子ではどう足掻いても無理だろう。


一通り考えたら、また溜め息が漏れた。


駅の改札口周りは群がる人たちの熱気で、いつもより気温が高くなっている気がする。


じんわりと汗ばんできた額をハンドタオルで拭い、バッグの奥から携帯電話を取り出した。


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