お握りに愛を込めて

先輩の背中は、思っていた以上に広くて、ゴツゴツしていて、男の人を感じさせ、意識すればするほど、心臓がバクバク煩く騒ぎ出す。

ダメだ……
口から心臓が飛び出そう…
意識し過ぎて酸欠になりそうです。




「おっ…重たいですよね?」

余りにも男の人を意識してしまうから、何か話して気分を紛らわそうとしたのに


「いや、全然。菜子ちゃん、軽すぎ」


そんなこと言われると、逆に恥ずかしくて、顔が赤くなってしまう。

多分、今はゆでダコ菜子。頭から湯気まで出てるかも。



愁先輩はズルい。

優しい笑顔を見せる反面、野球の時は、真剣な鋭い瞳をして。

そして、今、こうやって男の人を感じさせて。

好きって気持ちが溢れ出してしまいそう。


ううん
もう、溢れ出てるのかも。
かも、じゃないか
溢れ出てるね。

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