千の夜をあなたと【完】





「さあ、好きなものを食べろ。食べ辛ければ切ってやるから」


男の言葉に、レティはもう一度唖然とした。

……まさか、この男はわざとやっていたのだろうか。


なんだかもう訳が分からない。

男はレティの背にそっと手を回し、ゆっくりと身を起させた。

その力強い腕と、男の躰から漂う潮風と太陽の香りに一瞬ドキッとする。

レティはコクリと息をのみ、動く右手を籠の方にそっと伸ばした。


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