千の夜をあなたと【完】
『今は、潮の流れが良くない。もう少ししてからの方がいい』
とか、
『ウェールズ近海で海賊が出没しているらしい。もう少し海賊の活動が下火になってからの方がいい』
とか……。
それなら仕方ないかとレティはその都度諦めたものの、そんなことをしているうちにあっという間に冬になってしまった。
このままではまずいと思いつつも、どうすればいいのかわからない。
イーヴやセレナ、リュシアンに連絡を取らなければ、という思いは今でもある。
明日、市場に行ったら紙とペンを買ってこようか……。
届くか分からないが、まずは手紙を書いてみよう。
レティは決心し、ベッドにもぐった。