千の夜をあなたと【完】



封筒はよれて黄色くなっている。

どうやら長い間、人の手を渡ってきたらしい。

ゼナスは封筒を渡すと、一礼してイーヴの前を辞した。

イーヴは封を切り、中身を取り出した。


「……誰からだ?」


と呟きながら便箋を広げたイーヴだったが。

その青灰色の瞳が驚愕で見開かれた。

この字は……。


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イーヴリオン様へ


突然コルウィンを離れてしまってごめんなさい。

今、わたしはリュシアンと一緒にウェルシュ伯の屋敷にいます。

どうか心配しないでください。 レティーシャ



追伸

 愛しています

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