神様さえも朽ちらせる忌わしき呪物

 ミッシェルから見て、シャクナはひん死の状態だった。

 どこをどう切られているかなんてわからないが、全身血塗れ、いたるところから出血し、口からも血を吐く。

 重症でないはずがない。

 それでも、真横に立っていた龍雨は平常心のまま、特に心配するでもなく立っていた。

 「…っ、マスター、お手を汚したくありません」

 咳き込むシャクナを支えようとしたロキに、シャクナは抵抗を見せた。

 「わがまま言わない。ほら、手をとって」

 

< 25 / 129 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop