神様さえも朽ちらせる忌わしき呪物

 優しく笑うロキにシャクナが戸惑っているのを、どこか違う世界で起こった出来事の様に感じてミッシェルは見ていた。

 「…意味ない」

 「何が?」

 聞かれているとは思わなかったミッシェルが驚いて顔をあげれば、ロキの穏やかな笑みと一人で立つことも出来ないシャクナが視界に入った。

「あ…」

 「シャクは死にかけだけど、まだ死んでない。目の前の命を粗末にするほうが“意味ない”だよ」

 本人目の前に死にかけだなんて失礼な話だが、シャクナは気にしていないようだった。

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