キウイの朝オレンジの夜


「・・・だ・・・大丈夫、です―――――って、あ?」

 あたしは思わず変な声を上げた。しかも鼻を押さえていたから鼻声でもあった。なぜなら!

 目の前にある、男性が着ているスーツの下、白いシャツについた黒い染みは・・・。

 ―――――――あたしのパンダ目が当たったからかあっ!!

 ・・・ヤバっ!一瞬でザアッと全身に汗をかいた。

 男だ。ってことは、この人は噂の新しい支部長だ。そしてあたしは世にも酷い化粧の崩れまくったモンスター顔でその人に突っ込み、絶対高いに違いない白いシャツに、化粧の染みを・・・。

 ぎゃああ~(泣)

 このハプニングに後ろの事務所の中で、全員が見ているのが背中に突き刺さる視線で判った。

 顔が上げられない。でもでも、とにかく謝らなければ!!

 誰も、何も言わない。あたしはたらたらと汗をかきながら、すみません・・とごにょごにょ謝って、これ以上の失態を見せない為にもと全力でその場からトイレへ逃げ込んだ。

 ・・・皆、静かだったよ~・・・。ああ、泣きたい。そりゃあやばいだろう、玉!!何してんだお前!と思った沈黙だったに違いない。

 うわーん、今日はここ数年であたしのワーストデーに決定だわ。あたしだって今日をそれなりに楽しみにしていたのに、この結果はどうよ!!



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