ペーパースカイ【完結】
『お疲れさま。これから出かけてくるね。

苺に、ついにステキな彼氏ができたんだよ!

遅くなったら泊まっちゃうかも。。。ではでは、遅番がんばってね☆』

今日も遅番って事は、どうせきっとまた明日も、会えないんだろうな…

私は送信後、そのまま携帯の電源を切り、再び急いで走り出した。

陽司との心の距離が、どんどん遠くなっていく様な気持ちを、感じながら。

「ごめーん、お待たせ!」

「大丈夫だよぉー。こっちこそ急に呼び出しちゃって、ゴメンね」

ミスドの入り口を入ってすぐの窓際の席。苺と山中君がいた。

山中君は立ち上がりながら、

「なんか食います?」

と私に笑いかけた。

「あ、いいです。これから他にもちょっと用事あるんで…」

「んじゃ俺、自分の分なんか買ってくるんで。相川さんは?」

「ううん、あたしもいらないよ~」

山中君がいなくなった隙に私はすばやく、

「すっごい優しいじゃん!ジェントルだし。よかったね~『相川さん』!!」

苺の頭をよしよしとなでながら、こそっと話しかけた。

苺はもう、その一言で、みるみる耳まで真っ赤になった。

それこそ本物の、苺みたいに。
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